2015年01月31日

崩れることが予想される土地を住宅地にしている?

日本人はどう死ぬべきか?
養老 孟司
日経BP社
2014-12-11

「バカの壁」の養老先生と建築家の隈研吾さんの、こちらの対談本を読みました。

お二人の「さして大きな意味も怖れも感じていない」という死生観には大いに共感で、面白かったです。

誰しもみんな平等に、やがて迎える死。

そこを考えずしては、本来自分なりの満足いく住まい方は見つけられないだろうと思います。

隈さんが指摘するように、死生観を養わずにおざなりにした結果が、「空き家問題」なのでしょうね。


建築を専門とする僕にとって、ある一つの強烈な現実があります。全国に「空き家」が増えているという「空き家問題」です。

「空き家問題」(牧野知弘著、祥伝社新書)という本に学術的な調査結果がでているのですが、2040年の日本では家屋の4割が空き家になっているそうです。それを読んで、僕は背筋が凍る思いでした。

日本人にとって、家の死が人の死より先にきてしまっている。

僕らに対する最大のメッセージが、今、空き家から発せられているのです。戦後の経済成長の時代に、日本人は「永遠に生きていける」という錯覚に陥り、その錯覚を基に、家を国中にばんばん建てていきました。

住宅ローンという、生涯をかけた巨大な借金については、シビアな実態よりも「あこがれ」で、みんな目がくらみました。

しかし、日本人に限らず人間というものは、永遠に生き続けることなどできません。

もともと災害の多い日本では、庶民レベルの家が永続性のあるものだという認識は乏しいものでした。

少なくとも関東大震災までは、家というものは厳密な耐震、耐火が施された頑丈なハコではなく、ある意味、いい加減に成立してきた仮の住まいでした。

そこには「生涯をかけたローンで家を買う」というユートピア的発想などみじんもありませんでした。しかし、関東大震災を機に、地震や火事といった災害に対する技術的な解決が注目されるようになります。

昔の日本の木造は、いい加減なりに一つの「エコ・エステティクス」ー生態系的に健全な美しくはかないものー でしたが、皮肉なことに技術的な発達が、その
エコ・エステティクスを失わせる方向に働いたのです。

戦後はそこにアメリカ流のユートピア幻想が入り込み、日本の住宅地は、美しさと合理性を、ますます失うことになりました。

庶民に夢を抱かせ、家を作らせるということは、国家にとって、経済の浮揚に直結するし、浮揚した経済の維持にもつながるうまいシステムだったのです。

住宅ローンという魔法をかければ、人々を「サラリーマン」という名の高等な奴隷にすることだってできます。

「家を持って、永遠の幸せを手に入れる」という庶民の夢は、こうやって戦後日本に移植されたアメリカ流資本主義の根幹のシステムに組み入れられて、日本経済を支えました。

何しろ、家を作らせるということが国家の至上命令ですから、過去の災害地であろうが、災害が予想される土地だろうが、どこでも宅地開発が可能になります。


2014年は自然災害が続いた年でした。

例えば、台風による土砂災害に遭った住宅地は、山から扇状地が形成される地理的な過程の、まさしくそのただ中に立地していたと言われています。

崩れることが予想される土地を住宅地にすること自体、本来は信じられないことですが、戦後の日本社会は経済成長というシステム維持のため、そういうめちゃくちゃなことをしたわけです。



一般の人は、行政が「崩れることが予想される土地を住宅地」にしているなんて微塵も思ってないでしょうね。

宅地開発されているところは安心なはずだという錯覚を元に、「
家を作らせるということが国家の至上命令」であるとも知らず、それに踊らされているかもしれない。

それを知った上で家を建てるならいいでしょうけどねぇ。


つくり手も住まい手も、もっともっとこういう現状を受け止め、リスクを覚悟し承知してから家を所有することを検討してもらいたいなと思いました。


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ビルダーナースです
アラフォー女子。
A型。かに座。7月11日生まれ。
千葉市花見川区育ち。千葉→東京→千葉→名古屋→広島と移動し、現在は広島市在住。双子の片割れ(兄)がいます。

趣味は家事、映画、読書、散歩、人間観察。


技術屋で建築家の社長と2人で地場ビルダーを立ち上げた経験あり。


立ち上げ当初は業績も順調でしたが、3年目に大きな壁にぶつかりました。

この時、技術力やデザイン力だけではなく、PRやマーケティングを真剣に考えるようになりました。そこで主にHPで集客するスベを身に着け、金なし、地縁なし、営業マンなしで、なんとか受注できるようになりました。


得意なことは集客デザイン。そのためのHP制作やチラシ・カタログ・パンフレットの企画、制作・マーケティング施策の企画。コーチングを通してその施策を継続できるようサポートすること。


現在は工務店・ビルダー・職人・設計士さんのコンサルティングやコーチング、執筆活動などを通じて地場でがんばる方々を実務面とスピリチュアルな面から支援しています。


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